お茶の評価方法

静岡茶市場で売られている茶は、生産者などの「売手」から出荷されたもので、荒茶(あらちゃ)と言います。この「荒茶」を茶商などの「買手」が市場で購入し、ブレンドや加工をして茶が仕上がります。買手は、どんな基準で茶を選ぶのでしょうか。

1 外見を拝見する

市場で茶を選ぶことを「拝見」といいます。まず、「拝見盆」と呼ばれる黒いお盆に入った茶の外見を見てから手で触り、鼻を近づけて香りをかいで、茶を選びます。拝見盆が黒い理由は、茶の色がわかりやすく、良し悪しの基準を見つけやすいためです。

2 熱湯を注いで拝見する

次に購入を検討している茶を持って水見場へ移動します。約200CCが入る「拝見茶碗」と呼ばれる茶碗に3~4gの茶葉を入れて、熱湯をいっぱいに注ぎます。湯の中で開いた茶葉をすくい網ですくい上げ、開き具合や水色などをチェックします。また、鼻を近づけて香りをかぎます。

3 味や水色を拝見する

さらにさじで茶碗の湯をすくって口に含み、味を確かめます。茶葉を取り除いて水色を再度確かめることもあります。「拝見茶碗」が白い理由は、微妙な色や、茶葉の開き具合や形、細かさなどを的確に確認するためです。熱湯200ccに茶葉3~4gという条件で審査されます。

荒茶にもいろいろな種類や製法があり、それぞれ評価のポイントが異なります。
一般的に茶と言えば「煎茶」を指しますが、その煎茶にも製造工程における蒸し時間の違いで「普通(蒸し)煎茶」と「深蒸煎茶」に分けられます。
それぞれどんな点をポイントに評価するのか見てみましょう。

[普通煎茶]

普通煎茶は、緑茶の代表的なお茶で、一般的に「煎茶」と呼ばれています。江戸中期に京都の宇治で永谷宗円により考案されました。茶畑で茶の葉を摘採した後、生葉が新鮮なうちに30秒ほど蒸し、揉んで仕上げます。茶の生葉は、摘採するとすぐに酸化酵素の働きによって発酵が始まりますが、緑茶はこうして蒸すことで発酵を止めるため(不発酵茶)、緑色を保ったお茶になるのです。

外観 ・伸びがよく、細く丸くよれている。締りがよい。芽揃いが良い。
・手のひらにのせると、重量感がある。
・色は冴え、濃い緑色で、光沢がある。
香気 ・爽快な、若芽の香りがある。
・新鮮味のある香りがある。
水色 ・黄緑色で明るく澄み、濃度感がある。
滋味 ・甘味、渋味、苦みと旨味が適当な濃さで調和している。
・舌にまろやかに当たり喉越しがよい。
・口の中に清涼感を与える。

[深蒸煎茶]

深蒸煎茶は、静岡県で20世紀後半に誕生したお茶で、普通煎茶よりも長く蒸したもの(60〜120秒くらい)です。深蒸しにすることで渋みが和らぎ、まろやかな味わいになります。長く蒸すことにより茶が細かくなるため、普通煎茶と比べると粉の量が多いのですが、お茶の味や水色が濃く、お茶の成分が多く抽出されるのが特徴です。

外観 ・形は、伸びがよい。細く丸くよれ、締りがよい。芽揃いが良い。
・手のひらにのせると、重量感がある。
・色は、鮮緑色で冴えがある。色調が揃っていて、光沢がある。
香気 ・青臭みがない。
・深みのある香りがある。
水色 ・鮮緑色で、濃度感があり、にごりや、澱(おり)が少ない。
滋味 ・濃厚な旨味、甘味がある。
・舌にまろやかに当たり、喉越しがよい。
・青臭味が、少ない。