取引と流通

拝見から取引成立までの流れ

1:買手が茶の品質を確かめる「拝見」

早朝、拝見場には拝見台の上に数多くの拝見盆が並びます。買手はまずそれらの茶の外見を見てから手で触り、鼻を近づけて香りをかぎます。ベテランになると、もうこの段階でたいていの品質は判断できるそうです。
次に購入を検討している茶葉を持って水見場へ移動します。約200CCが入る拝見茶碗に3~4gの茶葉を入れて、熱湯をいっぱいに注ぎます。湯の中で開いた茶葉をすくい網ですくい上げ、鼻を近づけて香りをかぎます。さらにさじで茶碗の湯をすくって口に含み、味を確かめます。熱湯200ccに茶葉3~4gという同じ条件で、すべての茶が審査されます。
これで買手は今日、自分が買いたい茶のあたりをつけます。

2:仲介人をはさんでの「取引」

取引開始のベルが鳴ると、買手は事前の拝見で目をつけておいた茶を買うために、売手と交渉を始めます。一点ごとに品質が異なるので、それぞれに取引価格を決める「相対取引」が行われます。その仲立ちをするのが静岡茶市場の取引部社員です。売手と取引部社員で適正と思う参考価格はすでに手合票に書いてあります。それよりも安く買いたい買手と、価格を維持したい売手の間に立って、中立の立場で取引を円滑に進めるのが取引部社員の役割です。

3:うまく取引が成立したら「手打ち」

売手と買手の駆け引きが済み、取引価格や条件が整ったら、その旨を手合票に書き込みます。「取引が成立しましたよ」という証と、周囲への発表を兼ねて、売手と買手、仲介人である静岡茶市場の取引部社員の3者がシャンシャンシャンと手を3回叩きます。3回打つのは、3が日本で昔から縁起の良い数とされているからです。

静岡茶市場の役割

静岡茶市場は、茶生産側の「売手」と、製茶側の「買手」の橋渡しとなる役割をしています。それぞれが適正かつ公正な取引を行うためのサポートをしています。

静岡茶市場

売手から茶の販売を委託され買手に販売します。取引方法は、相対売買が主で、必要に応じて入札の方法もとっています。事務処理は全てコンピュータ化されており、その日の市況は、ホームページで提供しています。昭和52年度からは取引銀行及び関係各位のご協力により、「売手には現金払い、買手は手形で購入することが可能」となる画期的な制度が確立しています。また、茶市場で取引された茶代金は100%一般社団法人茶取引安定協会が補償することになっています。

売手

県内外を問わず、門戸が解放されています。静岡県はもとより、鹿児島県を初め各県の荒茶が上場されています。取扱数量比は県内茶約6割、県外茶約4割となっており、売手は各県経済連、総合農協、茶農協、共同工場、買葉業者、自園自製業者、会社等多様で、茶市場内で取引をするときは売手名の入った緑色の帽子を着用します。茶代金は手合日より10日後に銀行送金となります。

買手

一定の要件を備えた茶商工業者が買手となることができます。茶市場内で取引をするときは買手名の入った青色の帽子を着用します。また場内には承認買手の名前が提示されています。

流通の仕組み