お茶について知ろう
みなさんが毎日のように飲んでいるお茶、おいしいだけではなくて、実は健康にも良いって知っていますか?
お茶を飲むとどんな良いことがあるのか、お茶博士の物部先生に聞いてみました。
お茶をおいしく飲むだけで、心にも体にも健やか効果が!
お茶に含まれている成分には、抗酸化作用があるカテキンや、抗ストレス作用のあるテアニン、覚醒作用や利尿作用のあるカフェインなどが含まれています。
これらの成分は、健康に役立つ成分として注目されていますが、湯飲みに1杯のお茶を飲んだら、すぐに健康になるというような即効性はありません。毎日飲み続けることで、健康に役立つのです。
「なんだ、たいしたことないな」とガッカリしましたか? でもこれが薬だったらどうでしょうか。薬には即効性がありますが、副作用というリスクもあります。しかも薬はおいしくありません。
しかしお茶ならみんな喜んで飲みます。それはおいしいからです。先ほど説明したように、お茶にはいろいろ健康に役立つ成分が含まれていますが、私が思うに、お茶の最大の健康効果は、おいしいお茶を飲んでリラックスすることではないでしょうか。現代人の生活は、さまざまなストレスにさらされています。ストレスは万病の元。おいしいお茶を飲んでリラックスすることは、ストレス解消に大いに役立つのです。この効果は素晴らしいものです。お茶はおいしいから自然に飲みたくなる、無理することなく毎日飲み続けられる、その結果、健康に役立つ成分が少しずつ体に取りいれられるのです。
お湯で淹れるか水で淹れるかで、味が変化するのがおもしろい
最近は、ペットボトル入りのお茶を飲む人が多く、お茶は冷たい飲み物だと思っている人も多いとか。ペットボトル入りのお茶は飲みたいときにすぐ飲めて便利ですが、急須に茶葉を入れて自分好みのお茶の味を楽しむのも良いものです。お茶の成分は、温度によって溶け出てくるものが違います。つまり、冷たいお茶と温かいお茶では、含まれている成分に違いがあるのです。もちろん味も違います。一般的に温度の高いお湯で淹れると、良い香りがして渋みの強いお茶になります。冷たい水で淹れると、鼻で香る香りはあまり感じられませんが、口の中で広がる香りを感じることができ、まろやかな味のお茶になります。
お茶はお湯の温度の高低、お湯や水を注いでからの時間の長短、そしてもちろん茶葉の産地やブレンド(※お茶の多くは、数種類の茶葉をまぜて、香りや味のバランスを整えています)の違いで、さまざまなおいしさが味わえるのです。ぜひいろいろ試して、自分の好みのお茶を見つけてください。とっても楽しいですよ。
私が「このくらいがどんなお茶でもたいていおいしく淹れられるな」と感じる割合は、急須は両手ですっぽりおおえるぐらいの大きさで、1人分 茶葉3gぐらいに対して、水またはお湯150ccが目安です。お湯で淹れる場合、お湯を入れた茶碗に手を触れて「熱い!」と手を引っ込めるような熱湯だと、渋い・苦いと感じる成分が出過ぎるので、「熱いけど気持ちいい」「温かい」と感じるくらいの温度で淹れるのが良いでしょう。茶葉を急須に入れてゆっくりとお湯を注ぎ入れ、すぐに注がずに、少し待ってから(目安1分)茶碗に注ぎきります。
飲んでみて味が薄いと感じたら、茶葉の量を増やしたり、もう少し長く待つようにするなど、お好みの味をぜひ探してみてください。
お水で淹れる場合は一番手軽に淹れられるのは茶こしがついている市販の冷茶ポットですが、それがない場合は100円ショップなどで売られている不織布製の出汁用袋(※お茶用の袋もありますが、出汁用の方が大きいので、茶葉がしっかり水を含んで広がることが出来るので、出汁用を使うことをおすすめします)に茶葉を入れ、適量の水に入れ1時間以上冷蔵庫におくとよいでしょう。
ちなみに茶葉には消臭効果があるので、飲み終わった後の茶葉はそのまま捨てずに、弁当箱や魚焼きグリルの受け皿など、の消臭に使いましょう。洗剤で洗ってもなんとなく臭いと感じたら、洗剤で洗った後に飲み終わった茶葉を入れて、水を張って一晩つけ置きしておくと臭いがとれますよ。
プロフィール
物部 真奈美 先生
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
果樹茶業研究部門 茶業研究領域 茶品質機能性ユニット